辻畑隆子作品をめぐる旅

 初めての遠足に浮かれた小学生のように、12時に寝て5時前に目を覚まし、支度の続きをする。
 実は、新調したリグを使うのは初めてでまいあがってしまって、同時に新調した一脚のことなどすっかり失念してしまっている。やむを得ずありあわせの一生モノの一脚を、周囲の人に脅威にならないように手提げ袋に入れて持っていくこととし、カルマーニュ530についてきた自由雲台をつけて間に合わせたつもりになってみる。
 放射冷却で冷え込みの厳しい中、余裕をもってバスで西新ステーションに出て、西唐津行き地下鉄に乗車。終点で呼子行きバスにトランジットして、9時頃に呼子到着。
 早速朝市通りの設置場所に行ってみる。今日は、お隣りの観光名所(鯨組主中尾家屋敷)がお休みなので、人通りもまばらである。光線の回り具合を見ながら2 shot撮像した。

 民家の1階の屋根から抜きん出る大きさなのであるが、周囲に花壇のレンガの囲いがあるのでその上に登らせてもらって一脚で頭のてっぺんから足の爪先までスキャンすることができた。上が普通に撮像したもの、下が3D Gaussian splattingしたものである。辻畑隆子《風、間問う》
 こうして眺めてみると、3D スキャンした《風、間問う》でちょうど正対する視点で鑑賞させてもらうと、何か気品の高さが再現できてないようなものたりなさ感を感じてしまった。
 《風、間問う》にしても《開》にしても実に高い台座に設置されていて、パースペクティブがついてプロポーションの見え方が変わり、小顔に見えるのがその一つの要素ではないだろうか。さらに、彫像の視線が鑑賞者のそれと交差せず、ずっと高いところでまっすぐ遠くを見ているところに、何か憧れのような気持ちが生まれる心理効果を計算されているようにも思われる。鑑賞時の仰角から適切な台座の高さについて論じた岡本論文に取り上げられた、佐藤忠良《裸のリン》をはじめ、《開》阿部誠一《女の子ー平成ー》などの超高台座系彫刻の撮像に挑戦してみたい。

 次に鯨組主中尾家屋敷の建物を回り込んで、辻畑隆子《親子鯨》を発見、こちらも撮像した。

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