デュードニー流コンピューターレクリエーションからデータサイエンスへ(1)

 この秋から事務所ソフトの使い方実習のお手伝いをお引き受けすることになった。来年度もお鉢が回ってくる可能性が高いが、それはインストラクター人繰りが難航して猫の手でも借りたい部署の白羽の矢がいつも暇にしている(と思われている)筆者の額に的中したためであって、筆者がデータサイエンスの第一人者とあがめられ、三顧の礼を尽くして迎えられたわけではない。
 プリントアウトされたデータを打ち込んでキーボードの使い方やJISキー配列を覚えるのは大事だし、棒グラフの描き方も知っておいて損はないし、モンテカルロ法でπを求めるのも興味深いけれど、一応筆者にも、別腹でいいのでデータサイエンスを楽しんでほしいという願いがあるので、若い頃にひとかたならぬ影響を受けたA. K.デュードニー先生の「コンピュータレクリエーション」(Scientific American誌連載記事が翻訳されて日経サイエンスに連載されたのが4冊の別冊サイエンスとして刊行された)をネタ本にと探すが、今や日本の古本屋でも見当たらず。
 コンピューターを未知の世界を探検するメガネのように使う感覚がA. K.デュードニー先生の魅力だと思われるが、意外にも絶版になるほどお呼びでなくなってしまっているのは、題材が古いためというよりは、アルゴリズムが抽象的に古代(プログラミング)言語で説明されているのみで、アプリをダウンロードしてすぐ遊びたい向きには歯が立たないことに尽きるのかも知れない。
 やっとのことで有澤誠先生のプログラミングレクリエーション1・2を自炊死蔵していたのを発見。そこからのつながりで以下四冊を発注した。

 本日《コンピューターの数学》(Concrete Mathematicsの訳本)が届いて読み始めたら、1章が終わるかどうかというところで《続ナノピコ教室》が到着。
 これらの本の題材は具象・抽象混在のコンクリート数学やパズルなどで、失礼ながら今の筆者の目には、授業に取り上げるネタとしてのワクワク感が一段劣って映る。
 何と比べてなのか、筆者にも最初はわからなかったが、無意識に、なうなうさんのページやインターフェース誌別冊の「プログラミング学園」を比較の対象にしているのだと気がついた。データソースにデータベースで検索したデータを使ったり、出力がマルチメディアデータになったりする(例えば、自分のスマホやスマートウォッチから取得したビッグデータを解析して、音として鳴らしてみる)ような、そういうきらめきは、要するに抽象度や格調の高さではなくて探究の深奥でキラッと光るテイストではないかと考えた。
 ということで「具象・抽象混在のコンクリート数学やパズル」の奥深さが感得できない筆者の底の浅さがさらされてしまうが、これはやむをえまい。


 

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