土屋勝彦:計算機との出会い、センターレポート, 12, pp.4-8; 1993

 大学を卒業して独身(貴族)の数年間は、ちょうどマイ(クロ)コン(ピュータ)の性能が年々上がっていく時期であった。マイコンを作って売るという企業がどのくらい飛ぶ鳥を落とす勢いであったかというと、富士通初のマイコン、FM-8のポスターにはマイコつながりで水着姿の伊藤麻衣子が登場したし、FM-11ADにいたっては、タモリが起用されていたのである。
 当時実験データの整理には、最初は先輩の持っていたSharpのパソコンを使って、最小二乗法のプログラムを書いたのであったが、次の年からは予算がついて、日電の旧八を使っていたのであろうと思う。スイッチを入れたらROMからブートしてN88-Basicインタプリタが立ち上がるという機械で、基本的にはプログラムを作って、データを手打ちするような使い方であった。Basicで書かれたスプレッドシートソースコードの掲載された本を買ってきて、打ち込んで使ったと記憶している。その後、OS-9/6809を導入した時には、Oh!FM誌に掲載されたスプレッドシートマシン語ダンプを打ち込んだ。しかしながら、その後DOS/Vマシンで蓮家1-2-3が、またMacintoshExcel 2.0が使える時代が到来するとともに、これらのソフトも図書も、マシンごと陳旧化してしまって時の流れに押し流されてしまった。
 したがって、「Basicで書かれたスプレッドシートソースコードの掲載された本」は、たぶん手許にはない。シーゲル博士のノンパラメトリック統計学の本が今でも座右の銘になっているのとは対照的に、本の題名も著者名すら覚えていない。講談社サイエンティフィックから刊行されていたというかすかな記憶を頼りに、実験データの整理,大江修造,講談社サイエンティフィクをたずねあてたつもりになっているが、はたしてこの本かどうか判然としない。土屋先生は今から20年前に、(その時点から)10年前を思い出しておられるので、かなり信頼できそうに思う。
 件のlog-logit変換したデータを最小二乗法にかけるプログラムは、測定器との間をRS-232Cケーブルでつないで測定値の読み込みを可能とし、さらにスクリーンエディタ風にデータをブラウズしたりできるようにするシステムを書き上げて、測定器が代替わりするまでは使われていたと記憶する。

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