一年で最も潮位が高くなる時期

 気象庁から「この時期は一年で最も潮位が高くなる時期なので大潮の時に警戒するように」との注意報が出ているのを見た。一体何故秋口なのだろうかと、何も考えずにぐぐってみたが、明確な答えは見つからなかった。
 そこでこう考えてみた:潮の満ち干は月と太陽による潮汐力で生じる。月と太陽の引力を合成した潮汐力が海水を移動させていることになるが、万能の日時計にならって、地球を外から眺めてみると、月や太陽が天頂(または真下)にある地点では周囲から海水が引っ張られて海面が膨らんでいるわけである。月による膨張海面と太陽によるそれの位置とがぴたり一致するのは新月(あるいは正反対に位置した満月)の大潮の時で、上弦下弦の月の場合にはそれぞれが別の山を作っているから、月による膨張海面が小潮を作るというわけであろう。
 さて、その太陽による膨張海面であるが、地球の自転軸は23.4°傾いているから、季節によって南北の回帰線の間を往復するのであろう。日本では太陽の引力は夏至の日に最も天頂よりに作用し、月に引っ張られた海面をさらに大きく持ち上げるというわけなのであろうと考えて納得した。しかし、夏至から2か月もたった頃に影響が最も大きくなるのはちょっと時間がかかりすぎているようにも思われる(経度方向には1日に2回も干満が起きているのに、緯度方向の変化の周期があまりに緩慢すぎるのではないかとふと疑問がわく)。後日記> が、これは月の南中高度も季節によって変動することから納得される。
 さらに、地球の自転による遠心力はまったく無視しているが、こんなことでよいのだろうか。この考え方を緯度の高い地方にあてはめると、潮の満ち干がだんだん少なくなっていくと帰結するように思われるが、本当だろうか。あるいは、太陽(の回りを公転する地球の軌道)や月の軌道が正円ではないから、その距離の差によって起こる現象なのだろうか。後日記> これらの疑問に対する答えは、下記の論文でほぼ得られると思う。
 後日記> 月の基礎知識 06.大潮と小潮で紹介されていた彼岸潮は年極小は、筆者の疑問にズバリ答えてくれるものであった。

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