3次元の月

 夜になってCEOも見とれるような美しい月夜になった。それで、以前C. L. ストング編:アマチュア科学者で読んで試してみたかった月を立体視する写真の撮影を試みようと機材を背負ってトレーニングに出かけたのであるが、夜半すぎから叢雲がわきおこり時に風も強し。
 原文には、「105センチの焦点距離をもった9センチの対物レンズ」で「7時間おいて」撮った2枚の満月の写真を左右の目で立体視する作例が掲載されている。が、あまりにも粗い網掛けなので詳細ははっきり見えない。レンズの方は(カメラレンズ的には)1,050 mm F11.7である。使用したカメラは「エギザクタ」と記載されていて、これは今ではクラシックカメラの銘品である。
 月は地球の自転に合わせてほぼ1日で天球を1周するが、地球の周りの公転のために少しずつ天球上を移動するとともに自転でほぼ同じ面を地球に向けている(公転・自転ともに周期は29.5日)ために、時間とともに太陽との相対位置が変化し、満ち欠けが生じるわけである。月面上での太陽光線の入射角の変化は0.508°/hと計算される。当然、時をおいて撮影した月の写真では影の出方が異なるから、「一人時間差立体視」が成立することになる。
 そこで、7時間の撮影間隔は入射角が3.5°変化することに相当するのであるが、これが充分な3D効果をもたらすかどうかは、撮影系の分解能や月全体の大きさとのかねあいで決まるのであろう。[天文]

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