スミコばーちゃんのお年玉で買ったHush Puppiesは、数多試したなかで最も履き心地がよく、歩きやすく「あらたまった場でももっともらしい顔をしている」人生最高のお気に入りの靴である。
唯一のよそ行き用の靴として7年も履いたら、踵が相当にすり減ってきた。
靴底の方に摩耗が及ばないうちにと、Siriに教えてもらった最寄りの修理店に持ち込んだが、実際には摩耗させてしまっていたので、手当してもらった。修理にはいくつかのオプションがあり、佐貫先生が《旅と道具》で推奨された(というかもともと標準装備されていたと思われる)ビブラムソールを指定して張り替えてもらうと、材料費と工賃とで購入価格のほとんど8割に到達するので、今回は安物のソールを指定した。
この選択の背景には「時間をかけて探せば7年前と同価格で同じくらい快適な履き心地の靴を見つけることができる」という暗黙の前提があったことに気がつくのであるが、これは果たして正しいのだろうか。むしろアメリカ西部のカウボーイたちのように、自分の体に馴染んだインターフェースは万難を排して担いで往くべきなのだろうか。