恩師の考え方

 筆者が受験したのは共通一次試験施行のすぐ前の年で、今のセンター試験のようななしょなるえぐざみねーしょんはなかったので、大学独自の出題問題を解くのが入学試験で、理系は硬派の伝統なのか物理が必須科目になっていた。
 教養課程では、学生時代の愛読参考書の著者でもあった教授の力学と熱学・統計力学の講義があった。極座標の変換の板書をノートに書き取ったのがついこの間のことのように思い出される(が、もちろん40年前のことである)。わりと脱線の多い講義で、物理学会の初日の朝一はトンデモ演題アワーだとか、(数学の受験参考書として一世を風靡した)解法のテクニックの著者矢野健太郎先生の消息とか、エンリコ・フェルミは計算が遅いけど、どれだけ難しい計算になっても同じスピードなので、結果的に誰よりも早く答えを出すとか拝聴したことを思い出す。試験の時には「ならぬカンニング、するがカンニング」と唱えながら試験場を歩き回っておられた。級友から、NHK特集に糖尿病患者として出演しておられたと聞いたことがあるが、1998年8月7日、腎不全でご逝去されるまで、お健やかにお過ごしであったことと拝察する。
 専門書を精力的に出版されて、そのほとんどが岩波書店から、というのがすごい。ファインマンさんの教科書の量子力学の巻も翻訳されている。筆者が注目するのは、以下の「物理の考え方」シリーズで、時間ができた時にもう一度あの頃に戻って恩師の考え方に触れたいと念じている。

力学の考え方 (物理の考え方 1)

力学の考え方 (物理の考え方 1)

電磁気学の考え方 (物理の考え方 2)

電磁気学の考え方 (物理の考え方 2)

熱・統計力学の考え方 (物理の考え方 3)

熱・統計力学の考え方 (物理の考え方 3)

量子力学の考え方 (物理の考え方 4)

量子力学の考え方 (物理の考え方 4)

相対性理論の考え方 (物理の考え方 5)

相対性理論の考え方 (物理の考え方 5)




 

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