銀色の記憶(4) 銀色の四色ボールペンを買うseason 2

 最近はボールペンのインクを大量に消費するようなことがなくなった。
 それでもちょっとしたメモ書きなどに胸ポケットにボールペンがないと不便ではあるが、ペンだこを作りながらインクをどんどん減らしていくような使い方はたえてなくなった。
 その分、ちょっと高価なカートリッジを使うコスパのよくないペンでもおされに使うことができるようになったとも言える。最近少し復活してきた少人数の打ち合わせや会議等にはMont Blanc Noblesseボールペンを持っていく。照明を落とした場所でも銀色のダイアモンドカットのペンがぎらっと光って、自分の気分もあがるし、「あなたのお話には傾聴すべき価値があると思っていますシグナル」も出せる。
 ところが実際に使ってみるとスリムすぎてグリップしにくく指が疲れる。加齢のためか、しょっちゅう手指消毒剤を使うためか、ポリエチレン袋をうまくほぐせないのと同様、滑らないように少し強めに握るのがとても疲労感につながっている。手持ちには同じ表面性状で少し径の太いWatermanもあるが、こちらは油性インクがダマになりやすく、ちょっと使いづらい。
 職場用にステッドラー社製の三色ボール+0.5 mmシャープペン現行品を実用価格で買ったが、表面がつるんとしていて指にしっくりこないのが気になってしようがない。
 ということで、見るからに指がかりのよさそうなvintageのMontblanc Pix-O-Matが気になる時期が回帰したのである。かなり太い十二角柱で、表面にギローシュ彫刻が施されている。2019年から2020年にかけての頃は純銀製の番手も見かけたが、現在は見当たらない。それでもディスコンになってかれこれ40年は経っているので、某巨大オークションサイトに出品されたものは文化財価格で取引されている。
 単に紙に文字を書く目的なら百均で買ったボールペンでも使えるであろうに、なぜわざわざ400倍以上のお金を払って製造中止品を買わなければならないのかという問いに明確に答えられなかった筆者を、12年も前から待ち続けていてくれた答えがあったことに本日気付かさせられた。Montblancの最も古いタイプのPix-O-Matの伊国製クローンのように見受けられるが、シルバーだけでなくゴールドのバージョンもある。地金は特殊鋼なので、これなら両方とも自分のであると嘘をついても、池の神様は両方鉄だとお見通しということである。

 後日記(2021.11.01)>本日黒のインクが切れたのを交換。ラジオペンチが見つからなかったので、空になったイタリア製のリフィルを指でつまんで引っこ抜いて、高性能ジェットストリームインクのリフィルをグリグリとねじこんでいく。言うまでもないが、書き味が全く変わってしまうのが面白い。今後青や赤を交換するのが楽しみになってきた。

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