BS2 カーペンターズ・フォーエバー

 途中30分ほどCEOの「恋から」にチャンネルを奪われるが…。何年か前、思いがけずこの手の番組を見たときは、感動した。別にどうということもないのかもしれないが、涙が止まらなかった。
 今回、「このTVを(14年前に)買ったのはこれを見るためであった」というほどの感激はなかったものの、20代のカレンのビデオを見るにつけ、やっぱり「唄のうまい7つ年上のお姉さん」に見えるのは、こちらも当時(すなわちカーペンターズがヒットを出していたあの頃)に引き戻されているからに相違なし。
 Nowのライブビデオが流れないかとずっと観ていたのであるが、曲の一部が兄君のインタビュー場面のBGMとして流れたのみ。これだけ気に入っていながら、本物を聞いたのはこれが始めてで、想像とかなり異なっていた。MIDIが原曲をいかに忠実にコピーしていても(楽器の音に関しては本物の古い録音を凌駕すること多し)、やはりカレンの天才的な歌唱力は曲の雰囲気をがらりとかえるのである。
 洋楽に物心がついた頃、ビートルズはすでに解散、カーペンターズが来日してNHKでClose to youを唄っていた。残念ながら、当時カーペンターズのレコードは一枚も買わなかった。小遣いをためて買うのはブリティッシュな、プログレッシブロックのアルバムであった。どうもその当時、ビートルズのLet it beのシングル(たしか400円)を買って、無駄遣いしたと父親に小一時間といわず説教されたことがトラウマとなって、「LP1面1曲」とかでなければ許されぬ雰囲気があったかと思われる。
 たとえばELPの「展覧会の絵」は、ムソルグスキーの原曲にかなり忠実で文句は出なかったように記憶する。と追加したが、さらに訂正。カセットテープにNHK-FMで放送されるのを録音(エアチェックとよんでいた。なつかしー)するか、ご楽友から借り受けたLPをテープにとって聞くのが当たり前であったのだ。それでも、Beatlesがだめで、Pink Floyd「原子心母」「おせっかい」「狂気」がよかったのはなぜか、今改めて思い起こすとわからない。まあ、途方もないサウンドエフェクトに圧倒される気分は濃厚であったろうが、父親のcompromiseであったのだろうか?
 今となっては、ビートルズカーペンターズサウンドを単なる騒音、歴史に淘汰される音楽もどきなどとアナクロ発言するのはうちのCEOくらいのものであろうが、当時の経済封鎖をともなう文化的弾圧はつい最近まで近隣国にて実施されたるものにおおよそ異ならず。10年程前に父親がカーペンターズ・ベストなどという「軟弱」なCDを買っているのを見つけて、当時「10年後、20年後には歴史に淘汰されてしまっている」と断言したではないかと憤慨したほど、トラウマは根深いのである。

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