とうとう…



  国内でとうとうBSE牛が確認されました。それ以前から、医原性CJDは存在していたわけですが、今回の一件でごく一般的な人であっても変性プリオンにさらされてきたかもしれないというホラー小説並みの恐怖がじわりと人々の心をつかんだわけですね。さらに、検査キットの誤用で変性プリオンを見逃したとか、使われていないはずの肉骨粉が与えられていたり、焼却されるべきBSE牛が肉骨粉にされていたりと、危機管理のまずさが浮き彫りになりました。
  風評被害などとおっしゃるけれど、実態が完全に明らかになったとき、エライことになっていたのでは遅すぎます。安全かどうかわからないという現状では、買い控えする消費者の方が、業界ウケ狙いで焼肉食って安全宣言する大臣よりも、はるかに賢明です。連日、変性プリオンの蓄積しやすい臓器さえ摂取しなければ大丈夫、というようなTVを見ていながら、実際のところなんにも考えてなくて先日東京出張したときは新宿西口の松屋でカルビ焼定食を食べましたし、今夜はのん*屋さんのホルモン定食を食べてました。自分の食生活ということになると、まったくのんきなもので、おっちゃんも別にメニューを自粛するでもなく出前してくれますしね。。。とは言うものの、ここ2週間ほどで肉骨粉の使用製造禁止、リスクの高いウシ組織の焼却処分の義務付け、出荷前の検査などなどかなり機動力のある対策が立てられていると思います。これが小泉改革の目に見えるメリットなら、株価が下がっても支持したいですね。
  日本獣医学会の山内東大名誉教授のプリオン病ホームページは、いつも参考にさせていただいておりますが、ご本人も最近TVに登場しておられました。そのホームページによれば、BSE牛の焼却は、最低1000℃の焼却炉が必要なのだそうです(根拠は未確認、作用時間もどう理解すれば良いか不明なのですが)。うちの研究*の器具の熱による物性変化の(追試を迫られている?)研究も900℃が上限ですので、やっぱり追試が必要でしょうか。ヒツジでは発症前の血液を介しての伝播が証明されているので、観血処置になってないようで観血処置していることの多い刺繍猫科では、CJD患者さんに使った器具は、焼却処分するしかなさそうです。ただし、はっきり診断がついている人はそれでよいのですが、発症前ならどうするのか?CJDセーフな刺繍猫治療を考えていると夜も眠れなくなり、次の日の朝左右取り違えたりしてしまいそう、とは知り合いのちいパパのうわごとです。
 WHOの勧告では、NaOHまたはNaOClで処理後オートクレーブすることで変性プリオンの不活化を狙っています。この程度ですむのならまあ今の処理でクリアされているかと思います。

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