星界の探訪

 以前東山正宜さんの朝日新聞の連載記事で知った、比較明合成で撮ったデジタルの流し撮り星野写真集(の撮影データ)を拝見すると、明るいレンズを絞って使っておられることに気がついた。露光時間は3〜30秒であり、空の明るさによってはカブりで星が全部消えてしまうことになりかねない。天文写真では光源はすべて無限遠にあるので、絞りを調節しても被写界深度は関係ない。流し撮りの場合には露光時間で星の軌跡の長さを決めて、そこから逆算して空の明るさに応じた絞りを設定するということになる(シャッタースピード優先ということである)。銀塩天文写真では、感材の感度と絞りとで調整したが、デジタル天文写真では感度も設定変更可能なので、結果をプレビューしながらバランスよく調整できる。
 高気圧に覆われて、猛暑が続いているが、それほど湿度も高くない今夜は、モヤやカスミもなく、気流も安定している。ワークアウトの休憩地でカシオペア座二重星団の方にFD 85 mm F1.2 asphericalを向けてみる。35 mm換算で170 mmの焦点距離であるから、倍率4倍の広視野単眼鏡をのぞいているようなものである。ISO 6400、開放絞りで露光時間を長くしていくとだんだん暗い星が見えてくる。1秒までならカブって見えなくなることはない。メシエ天体はもともと彗星ハンターであったメシエが、口径5 cmの彗星探索鏡(カメラレンズ的には350 mm F2くらいか)で掃天中に出くわす紛らわしい彗星状天体をリストアップしたカタログなので、それなりに見えるはずである。かみのけ小宇宙群を撮影しておいて視野中心付近の画像をデジタルに拡大すると小宇宙がダルマの形に写っていたりするとうれしいと思う。
 が、いかんせん、夜空は明るくかみのけ座など全く見えない。というような時にあらまほしきは星図である。
 筆者は分点が昔のミハイロフとベクバルを持っていて、これをスキャンしておけば無敵であるという着想は得たものの、どこにしまいこんだものやら。

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