SDカードのディフェクト対策のデファクトスタンダードはSDカードフォーマッタによる論理サイズ調整である

 しばらく前から、Lumix GH1で連写している時に、書き込みエラーが出て撮影が停止したり、そこまでいかなくても書き込みに異常に長い時間がかかってレリーズ間隔が広がったりする現象が起こるようになった。もちろんSDカードが新品の頃にはなかったことである。カメラのフォーマット(初期化)を繰り返すうちにいつの間にか発生するようになった。オリオン群観測においても、風呂に入っている間にスタックして痛恨の欠測時間を作ってしまった。
 こうなったときどう対処すればよいかについて、Lumix GH1の取扱説明書やQ&Aにおいて明確には言及されていないように見受けられる(筆者は調べられていないが他のデジカメメーカーの取扱説明書はどうなのであろうか)。SDカードを他の機械でフォーマットした場合には、本機で再フォーマットするべしくらいしか書かれていない。おそらくメモリカード側で対応すべき問題であるという認識なのであろう。
 症状からSD(HC)カードに書き込めない領域ができて、カメラのOSが戸惑っているのではないかとあたりをつけて、SDカード ディフェクトでぐぐってみると、de Factoとdefectを取り違えている日本語の記事が多数見つかる。なお、de Factoはラテン語なので「でふぁくと」と読まれるべきと考えている。こういうことから、SD(HC)カードにディフェクトが発生するのはデファクトスタンダードなのか、とブラックジョークで感心していても始まらないが…いくらフラッシュメモリの書き込み回数には上限があるといっても、3か月前に購入して毎日初期化してフルになるまで撮影したとしても100回たらずである。宇宙線に叩かれるような極限環境で使っているというわけでもないのに、そのくらいでダメになるところが出てくるのであろうか?そのディフェクトはあきらめるとしても、それ以外の健全な部分を書き込みエラーを起こさない状態に調整しなおすことはできないであろうか。
 SDアソシエーションのページにはSDカードフォーマッタがあって(Lumix GH1の付属CDに収録されていて、Panasonicのサイトからダウンロードできるものと同一)、これがSD規格純正のファイルシステムにフォーマットするソフトウェアであることがうたわれている。
 そのマニュアルには、オプションの「論理サイズ調整」機能について≪SD/SDHC メモリーカード上のフォーマットされた領域の大きさがシリンダと呼ばれる単位サイズの倍数長になっていない場合、一部の機器では正しくSD/SDHC メモリーカードにアクセスできないケースがあります。本機能では、SD/SDHC メモリーカード上のフォーマットする領域の大きさをシリンダの倍数長になるように調整します。本機能を用いてSD/SDHC メモリーカードを再フォーマットすることにより、上記の機器で正しくアクセスできなかったSD/SDHCメモリーカードが使用できるようになる場合があります。≫とある。Lumix G1ではあまり気にならなかった現象がGH1で顕著になったのは、GH1の方が「一部の正しくアクセスできない機器」に相当するためであろうか。さらに論理サイズ調整を行った場合には、≪フォーマット前の容量よりも若干少なくなる場合≫があると書いてある。ディフェクト領域をとりのけてFATを作り直すから、容量が目減りするのだと考えれば納得できる。
 そこで、SDカードフォーマッタを使ってみるのであるが、筆者の所有するSDカードのベンダは、Panasonic, Transcend, PQi, Team Groupの4社である。そのうちのいくつかにおいては、USB2.0 Compact SD/MMC card reader(OHM electric)を用いると「書き込み防止スイッチがONになっている」という警告が出て、うまくフォーマットできない。ところが、SDカードリーダーを31in→1 card reader/writer(Sigma)(廃版)に換えて試してみたところ、手持ちのすべてのカードがフォーマット可能であった。このことは、SD(HC)カードのベンダの違いというのは実はどうもあまり関係なくて、SDカードとカードリーダー/ライターの相性あるいは単なる接点不良が疑われるが、それ以上の追及は行っていない。また、いずれもイレーズ機能には非対応のリーダー/ライターと認識されており、イレーズは実行されなかった。
 論理サイズ調整ずみの16 GB(TeamGroup社製。フォーマット正常終了後のアラートウィンドウにはvolume informationとしてTotal space = 15.1 GB(16,277,665,792 Bytes); Cluster size =32768 Bytesとある)を早速試してみる。20〜30コマ連写するとかならず起こっていたつっかえ現象は、まったく消失した。スリープから起こした直後にレリーズした時に一度ライトエラーを起こしたが、これはカメラのOSが充分目が覚めてなかったためであるとすれば、この実験は大成功であったということになる。
 まだ例数が少ないので、タイトルほど断定的ではないが、以下のように結論しておくのが適当であろう。
 1.デジカメで書き込みが異様に遅くなったり、ライトエラーが発生するようになったら、SDカードフォーマッタで「論理サイズ調整」をすると解決する可能性が高い。この調整は、デジカメなどでのメディア初期化では行われない可能性がある。
 2.その際、SDカードとリーダー/ライターの組み合わせによっては、SDカードフォーマッタがうまく作動しない場合があるかもしれない。[ハードウェア]

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