スイスアーミーナイフ仕様の鍵束を自前で作る

 もろもろの事情で、筆者は常時8本のキーを持ち歩いている。キーケースにはとてもおさまらないため、守衛さんかっとつっこまれそうな百均の直径8.5 cmのキーリングにつけ、さらに10年来愛用の小さなマグライトとネット系銀行のセキュリティチップをぶら下げると、全体としては片手にやっとおさまるくらい、おいなりさん1個分くらいのボリュームがある。ま夜中に鍵をジャラジャラいわせて玄関を開錠するにあたっては、同じ形状の2つの鍵を探し当てるのに確率1/2でやり直しが必要となる。
 そこでlifehack系のブログで見かけて、これは使える!と膝を叩いたのがリベット留めの鍵束というアイディアである。実際に持ち歩いているうちに外れてばらばらになってしまうようでは困るが、強度面でしっかりしているならジャラジャラいうこともないし、上下の向きさえきちんと区別できれば同じ形状の鍵でも迷わずにすむ。キーリングが環状で、この鍵束は直鎖状であるから、これはプラスミドにクローニングする際の方向性のアナロジーで説明されるであろう(か?)。うちのCEOなど、これではかえって鍵を回しにくいだろうと予想するので、自前でスイスアーミーナイフ仕様の鍵束を作ることであると説得すると、意外にもすんなり納得していた。
 で、実際に作るために必要なのはワッシャとリベット、その末端を処理するリベットガンである。検索してみると、テディベアのぬいぐるみの手足を胴体に可動的にくっつけるために使われる用途についてのページが目立つ(ほかの用途でも当然使われているはずであるが)。当地では手芸屋さんかホームセンター系のお店で探すことになるのであろう。この週末にぜひ作りたいものである。以下続報。
 続報:ダイソーの工具コーナーで《アルミブラインドリベット》と《ハンドリベッター》を発見し、購入した。百均ではあるが、ハンドリベッターは500円または700円商品で、700円の方を選んだ。また、《アルミブラインドリベット》の方は、直径と長さのバリエーションが何種類かあって、その場でカギ穴の直径に現物あわせできないので、一応3.2 mm(B)と4.8mm (B)の2種類を押さえておいた。それぞれ3.2〜8.0 mm、4.8〜11.0 mmの厚みのものを止めることができるという規格である。
 というので、つい(ダイソーに売ってなかったので)ワッシャもかまさずに止めてみたい誘惑に駆られるのである…これはばっちり、というより、まったく動かなくて困惑するくらい固定されてしまう。厚みがある鍵の場合には凹凸が引っかかってうまく動かないことも問題である。
 動かないからまったく実用にならないのだが、最小限の体積に切り詰められ、金属密度の異様に高い、スイスアーミーナイフのような存在感にまさに魅了されるのである。しかもちゃらちゃらした浮ついたところがない。意外ながら、これほど鍵に魅惑を感じるのは人生初の快挙である。コンパクトなカメラを手に持った時の心地よさに通じるものがあるので、お心当たりの方はぜひお試しください。
 実用的に作るには、鍵の出っ張り分をワッシャで補ってあげる必要がある。4.8mm (B)のリベットの11 mmの厚み止まるのは、鍵の厚みから計算して、5枚が限界のようである。
 ニッパで出っ張りを切り落として外そうとするが、少しゆるんで回るようになった程度で、そう簡単には外せない。アルミニウムの展性と延性の賜物であるが、これなら耐久性も申し分ないことであろう。
 ということで、本日の実験の結果から、スぺーサーをちゃんとかませれば、まことにコンパクトでセクシーな鍵束を作ることができるという結論を得た。あとは、ワッシャを仕入れに行くだけだ。
 

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