蔵書(令和7年10月収蔵分)

 松岡正剛氏による帝塚山学院大学人間文化部の一年生向け科目「人間と文化」講義録。50歳年上ながら、気持ちは17歳に戻って読んでいる。 銀河間の橋の写真が二葉(p.208にはNGC 5257とNGC 5258の、p.217にはNGC 4038とNGC 4039の)掲載されている。出典は、もちろんわれらがH. Arp: Atlas of peculiar galaxiesであるというこの奇しきこ゚縁。44年ぶりの再見のはずである。第Ⅰ巻あとがきで著者薮下先生は、福井謙一博士のノーベル賞受賞にふれ、研究の独創性・先見性について「他人の主張することをそのまま鵜呑みにはせず、自分の頭で考えるところに、何物かが生まれ出る可能性」があると、銀河間の橋の研究の進展を例に説いておられる。また第Ⅱ巻あとがきには「この本で使わせて頂いた写真や図の複製を許して頂いたH. アープ博士」への謝辞が書かれている。 MAKE A PAUSEと題した囲みコラムの内容にも秀逸なものが多い。p.193「スポンジ問題とレーザー照射実験」では、本書の原稿を書き終えた直後に、友人のW君と、三塩化ホウ素のアモルファスな層の中をキセノン分子に通過させているところにレーザーを照射すると、ガスの通過が阻害される、そのメカニズムを計算して共著論文を書かれたと記されている。おそらく1982年か83年のことであろう。気体分子の通過を遮断できるということから、今はどうしても化合物の隙間に分子をため込んだり吐き出したりさせる今年のノーベルローリエイト北川博士のことを思い出さずにはいられない。いわゆる福井学派にイニシャルWのつく方はいないか調査してみたが、見当たらず。なお、北川先生が大学院生に描かせた絵でハニカム構造に気づかれたのが「近畿大助教授だった1990年ごろ」のことで、薮下先生とW先生の共同研究から7、8年のタイムラグがあることから、これは筆者の思い過ごしと断定した。

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