AIと人類がコラボして生まれた「AIとBJとがコラボするストーリー」

 1977~1983年の学生時代は、手塚治虫作品としての《ブラック・ジャック》が少年チャンピオンに連載された年月と重なっている。しかしながら、筆者自身は貧しかったこともあって、毎号の発売日を楽しみにできるようなエンスーにはなれなかった。しかもチャンピオンなら鴨川つばめマカロニほうれん荘》のギャグ漫画の方が好みであった。軽佻浮薄に流れる時代を反映していたのかもしれない。
 1982年には加山雄三主演でTVドラマ化されたが、この時代下宿の自室にはTVがなく、かろうじて1987年の再放映をVHSビデオで録画したのであった。
 実は全集を揃えてすべてのエプソードを読破したのは、3年前でプロフェッショナリズムの新人教育の講義準備のためであった。
 TEZUKA2023プロジェクトのことは、NHKのニュースで取り上げられて気がついた。朝日新聞にも記事が掲載され、「11月22日発売号」にAIと人間がコラボして作った新エピソードが掲載されるというのである。
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 ただし、当地では一日遅れで店頭に並ぶので、本日地元のコンビニや本屋さんを探し回って購入。

 巻頭にはGPT-4をいかに追加学習させ、手塚流のストーリーを生成させたか、あるいはStable Diffusionで生成したキャラにどのように人間の感性を加わえつつデザインが練り上げられていったか、という制作過程についての解説記事が掲載されていて、これ自体生成AIの助けを借りながら芸術作品を作り出すためのプロンプトの素晴らしい教材になっているのである。チャンピオン読者層の若い世代には、こんなとんがった学びを得るチャンスがあるというのが、羨ましくて仕方ない。
 筆者などが述べるのもおこがましい限りであるが、本編のストーリーもまた、手塚作品の機械学習の成果にもとづいて、なかなかよく練られたものと思われたが、逆に手塚治虫というクリエーターの非凡さに気づかされることにもなった。一つ言わせていただけるなら、底流となってストーリーを支える「医のプロフェッショナリズム」について、どなたかが監修されると、さらによくなるのではないかと言うことである。

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