自分だけのための…

 先の亡父命日に始めた図書館での文献検索の結果をRSSリーダーで購読するというのが大変よい。
 今から40年もさかのぼると、各種雑誌の目次だけを集めたIndex Medicusという小冊子が刊行されていて、これを大先生が隅から隅まで精査して付箋をつけたのを下っ端がタイプライターで浄書するというようなルーチンワークがあった。今となってはよくもまあ、そんなことに時間を使っていたものだと呆れるほかないが、当時世界の最先端とつながるにはこれしかなかったのである。それがMedlineを経てPubmedに進化して、自分の興味のある文献の集合を、なるだけノイズの出ないクエリで定義しておけば、登録された途端に知らせがもらえるというすごい時代がきた。専門分野を異にする雑誌の論文も網にかかるのも素晴らしい。
 これらの文献はざっと目を通してEvernoteにタグを打って保管していくのであるが、しまい込んでしまったのではせっかくの情報が活かせない。特に昨今、この論文を前にも見たことがあるかどうかなど実にあやふやになってきている。
 整理棚から文献を出してきては、それの該当するテーマをまとめているノートを開いて、切り抜きを貼って、余白に書き込みをするようなイメージで、総説を書くためのプラットフォームがほしいものである。目次、要約、本文の階層構造がうまく反映されて、それでいてクリックするとリンクされている引用文献が発行元かEvernoteかで見られるというようなハイパーテキスト性があると、文献の森を探検するような感覚になる。最初はJupyter Notebookがよいのかと思っていたが、アドベンチャーゲームのような作りがさらによいのであろうか。やることは知的空間でのアドベンチャーであるので、方向は間違ってなさそうである。
 先の総説はたった3ページほどのものであったけれど、パートごとにWordファイルを分割して独立して書いたものを後でマージしたので、最後に全体の論旨をもう一度調整し直して、引用文献の並べ直しなどの作業も必要となった。
 本にするくらいの分量となると、Smalltalk-80のクラスブラウザのような作業環境でないと、全体と部分のバランスの調整は難しいのではないかと考えている。つまりモダンなOS一つ分くらいの情報を矛盾なく整理できるくらいのシステムが必要なわけである。最近使っていないが、Scribbnerが近いようにも思われるし、webでリアルタイムで公開するようなスタイルを考えると、最も実績のある管理方法はGITでということになるのかもしれない。

 

本ブログではamazon associate広告を利用しています。