踏み絵

 江口寿史氏が2つ年上で水俣市の出身であることは知らなかった。
 1980年頃、すなわち筆者が箕面市で大学生をやっていた頃にはすでに確立された漫画家で、大学からの帰途梅田の紀伊國屋書店で買った《日の丸劇場》や《ストップひばりくん》を阪急電車で読みふけったことを思い出す。時には連載中のひばりくんのページに白いワニが押し寄せてホワイト・アウトすることもあった。就職して岡山市に転居する際には数冊の単行本を大切に持ってきたのも、もう37年も前になるが懐かしい思い出である。
 市政70周年記念事業で水俣市の歩道に江口氏のイラストレーションのマンホールキャップが設置されたとのことである。新聞記事では、江口作品のマンホール蓋を踏まないように避けて通る市民のことを「踏み絵」と表現していた。7年前に肥薩おれんじ鉄道を利用したときは、沿線の駅ごとに駅チカの墓地があって、墓石が十字架のお墓が多いのに強い印象を受けた。そういう島原のキリシタンの伝統の地であることも含めて、「踏み絵」を感慨深く読んだ。
 open art touristとしては、あわせて津奈木町の岩野勇三野外彫刻作品、鹿児島の中村晋也作品をめぐる旅を計画したい。

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