macOSのAppストアでテキストエディタをさがす

 福岡に転職したのはまだMac OS 7の頃であった。いや、まだ6.7くらいだったかもしれない。当時Nifty-ServeMacintoshソフトウェアフォーラムのライブラリからダウンロードしたPublic DomainのテキストエディタでAlphaというのがあった。スペルチェッカー機能が内蔵されていて、当時やっとできるようになったオンライン文献検索で5インチフロッピーにダウンロードしてきた論文のアブストラクトのテキストを流し込んで、免疫学の専門用語を「学習」させていたことを思い出す。
 学位論文をLaTeXで書いて組版したのはMacintosh DUO230で、今筆者のMBAに入っているJEditΩの祖先であるJEdit 2とMarinerを使った。その後もJEditの強力な文字列置換機能は塩基配列の整形やFASTAファイルの生成で大いに助けられた。macOSJEditWindowsxyzzyとがインタラクティブ塩基配列操作には欠かせない道具であった。一方で、数十GBのデータを一括処理しようと思ったらAWK(やsed)以外の選択肢は思いつかない。おそらく最先端から何周も遅れてしまっているためだろう。
 懐かしい四半世紀前に戻ったとしたら、2 MHzの68020のMac IIで論文を書けるだろうか。今の1/1000のスピードのクロックであっても、軽量のテキストエディタなら軽快に動作したように記憶するのである…
 今Appストアでテキストエディタを探すとCotEditorやAgendaが見つかる。定番のワープロソフトを使っていて、頼んでもいないのに文頭の小文字を大文字に書き換えられたり、箇条書きの番号がどんどんインクリメントするおせっかいにうんざりした時は、プレインなテキストエディタに戻ってみるのもよいように思う。AgendaはiPadでも使えるので、湯船の中で執筆を続ける際には役に立つであろう。
 四半世紀でCPUの能力が1000倍になったというのに、日本語入力というのは旧態のままで、口述筆記とかキーボードから打ち込んだ文字のならびを判断してモードレスで日本語英語混じりの文章に変換する日本語入力に計算機資源がうまく活かされていないような気がする。
 これは日本語環境の特殊性ゆえに「ガイジン」には理解できないマンマシンインタフェースのスキマ領野と言えるのかもしれないが、1バイト系の言語であっても綴りには言語の独自性があるのだから、共通の研究テーマになるのではないだろうかと思う。
 

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