いきあたりばったり読書日記

 昨晩、なぜか急に気になって、自炊していた祐安重夫《読書するプログラマ》をDropboxの書庫で探し、読み耽る。
 筆者が独身貴族であった1980年代なかばに愛読していた月刊interfaceは、当時も今も最もとんがったソフトウェアの情報誌である。当時の勤務先の門前町の書店に並んでいるのを、昼飯の帰りに通りがかりに、ある意味amazon.co.jpよりも手軽に買ってこられる文化的な環境に暮らしていた。
 毎月楽しみにしていた見開きの連載記事「いきあたりばったり読書日記」を初出から2年分(1985年9月10日〜1987年10月1日)まとめてコラム記事を加筆したのが本書である。
 当時読書日記に取り上げられ、よさそうに思えたソフトウェア関係の図書は丸善岡山店で購入した。またDr. Dobb's Journal、APDA、JUG-CP/Mなど当時の最先端のソフトウェアコミュニティを知ることができたきっかけにもなったのに、そういうことがなぜか記憶からすっぽり抜け落ちてしまっている。
 祐安氏から授けていただいたのは、新刊本の情報というだけではなく、知的生活についてのお作法や考え方である。こういう部分を筆者は直接誰からも指導を受けていないことを後ろめたく感じてきたが、実にそうではなかったことに気がついたのである。
 稀代のご指導を受けたことの幸せに、改めて感謝申し上げ、かつて筆者が作成した「知的生活において影響を受けた本のリスト」に謹んで本書を書き加えるものなり。
 このような啓示を受けていたのは、一人筆者だけではないようで、重木重徳:工科系大学における「情報教育の研究」のためのブックガイド/リーディングガイドー個人的体験と工学院大学における実践を中心にーにも、著者ご自身の体験を振り返っての好例として紹介されている。
 筆者の愛読誌は、1987年頃にはinterface誌とOS-9のニューズレター、その後ハードウェアやソフトウェアの変遷にともない日経BYTE、日経Mac、WIRED日本語版、Laser 5のLinux Japanへと変わっていく。休刊廃刊になったものが多いなか、interface誌(やトラ技誌)は時代を越えてトンガリ続けていることに敬意を表したい。
 カメラジャーナル廃刊以来なくなってしまった定期購読雑誌であるが、明日発売予定のinterface4月号のGIS特集には心踊るものがあり、ついamazon.co.jpに注文してしまった。

読書するプログラマ

読書するプログラマ

 後日記(2019.3.23)>祐安氏の文体は、比較的初期のパーソナルUNIXワークステーションで、おそらくはEmacsで書かれた読書日記である。動詞は漢字で書かないなど、少しクセのある文体であるが、最近読み返していて影響を感じるようになってきた。
 後日記(2019.12.1)>「知的生活のお作法や考え方」を、「知的生活のための非認知的能力」と言い換えるならば、大学卒業直後の時期に本書から学びを得たことは生涯において大変幸せなことであったと感じている。

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