素の愛好者三号で捉える燈台放送

 燈台放送とは、正式には船舶気象通報と呼ばれていて、日本各地の燈台から一時間ごとの気象海象のデータをリレー放送しているものである。毎時00分の宮古島に始まり、太平洋岸を北上して釧路まで行って、一旦五島列島の大瀬崎に戻って今度は日本海側を北上して焼尻島燈台まで、各地の燈台での測定データが自動音声(ボーカロイド)で放送されるのである。どこのどのようなデータがいつ通報されるかという内容は、海上保安庁告示第一号に規定されている通りである。
 放送は1670.5 kHzで、普通のAMラジオの受信範囲の少し上である。受信趣味愛好者向けのラジオであれば、1669 kHzの搬送波に合わせてUSB(この場合にはupper side bandの略であって、universal serial busのことではない)で聴く、というのがよいらしい。
 気をつけなければならないのは、時刻に合わせて送信場所が変わるということだ。愛好者三号本体に内蔵されているバーアンテナには指向性があるから、バーアンテナを送信場所の方に向けて、よく入るように調整が必要である。また、送信局の出力は50 Wで、ふつうの放送局から比べると圧倒的に微弱であるので、本体の受信感度が高くなるように設定しなければならない。
 PC、液晶TVやインバーター式の調光装置などはノイズ源になるので、できればこれらから離れた位置で受信するのがよい。鉄筋コンクリートの建物では窓際の方が電波を捉えやすいと考えられる。
 それで、家族が寝静まった深夜に、灯りを落とした居間の窓際のソファで、横になったままDEGEN-1103の握り方を変えたり方向を変えたりしてみるわけである。なお、現在放送中の燈台がどの方角にあるかは、灯台放送マップをノートPCよりもノイジーでないiPadでリアルタイム表示させるとよさそうである。
 中波の電波は電離層で反射されてラジオに届くので、受信状態は日によって異なる。そういう中で、今までまったく受信したことがないのは都井岬、大阪ハーバーレーダー、金華山灯台、魹ヶ埼灯台、多古鼻灯台舳倉島灯台あたりで、それ以外の23局は聞こえるということだ。ただし、受信状態は、なにかしゃべっていることが分かる程度から、数値が明瞭に聞き取れる状態まで様々で、大阪以外は出力50 W均一ながら、必ずしも近局が強く、遠局が弱いというわけでもないのは不思議なところである。
 

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