シーゲル:ノンパラメトリック統計学ー行動科学のために、マグロウヒル、1983年

 大学を卒業した年に岡山大学に就職したのはかれこれ28年前のことである。岡山はセントラルビジネスディストリクトが極めて小さいから、週末ごとにくりだしては書店めぐりをしていた。本の背表紙を見ながら本棚を端から端へと渡り歩いて、今で言うところのセレンディピティを探していたのである。
 今回裁断してスキャンに供している本の多くはその頃のものだ。しかしながら、前の職場においてきた本の一冊が、この「シーゲルのノンパラ本」であった。思えば就職した年に出版された本なのであるが、誰かの推薦があって購入したのかどうかは記憶がない。この時代、SPSSは計算機センターの使用者登録をしていなければ使えなくて、筆者は、この本に記載されたノンパラメトリックな検定法のアルゴリズムを、最初の年は計算機室のNECワークステーションのBasicで、次の年にはBasic-09(FM-11のOS-9上のPascal風Basic)で、その次の年にはN88-Basicでインプリメントして検定をしたものであった。すなわち、最初の年は実験室の整備でとても「おもちゃ(当時の中間管理職の上司の言)」に金が回らず、次の年には自分で購入した機械を持ち込んでRS-232cで測定器と接続してデータ処理の自動化の先鞭をつけ、それが認められてその次の年にやっと予算がついて、当時としては超大容量の5MBハードディスクに8インチFDドライブがのっかった50万円のデュアルドライブを購入するというような、のどかな時代であった。その2年後には、スクリーンエディタ風にデータを修正したりできるデータベースマネージメントシステムを組んでしまったことを考えると、なかなかよくやっていた(ただし本業から外れたところで)ということかもしれない。
 それで、R本など裁断スキャンしているうちに、どうしてもあの思い出の一冊はデジタルアーカイブスに収録しておくべきだと思われて、amazon.co.jpで探して中古本を一冊調達。[本]
 後日記(2022-08-01)>東京出張の折に学友のアパートで見かけて購入したことを、ふと思い出した。

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