いまどきの野草写真



  もともとは、20年も前に購入したクラシックなMicro Nikkor 105 mm f/4とNikon F2で撮り始め、段々エスカレートして各種接写リングをつけたりして、ほぼ等倍くらいで撮ってきた野草写真でしたが、デジタル化にともなって、とんでもない問題が発生しました。
 それは、使えるレンズがない!ということでした。実は現在のNikonの一眼レフ(F80)では、既に初期のオートフォーカスレンズでさえ、「つけると接点を破損する」などという理由で、レンズのマウントは一緒でも、つけられないのです。前機種のFujix DS-505Aでは、自動露出は使えなくともつけることはできたレンズのほとんどが,現在のメインのFinePix S1proではまともに使えないということになりました。ある程度予想していたことではあったのですが、HPにも正確には記載されていないある変換リングの使用が不可能であるとの回答で、決定的になりました。それでも5本ほど使えるレンズを持っておりましたので、「いっそCanonのEOS一眼デジカメに宗旨変えしてしまえ!」とはならなかったのです。
 それでも、その新機種のボディーに対応した接写リングというものが発売されていれば、接写できるのではないか?現にDS-505Aではそうやって使ってきたではないか。と調べてみるのですが、どうやら作る気もなさそうなのです。Nikonは、すでに接写領域の写真からは撤退したのか?とさえ思われるほど、このあたりの対応は進んでいません。Medical Nikkorも製造中止となりましたし。。
  休日営業の帰りに、偶然カメラのキタムラ@天神店で見つけた中古AF micro-Nikkor 60 mm f/2.8を試させてもらって、疑問が氷解しました。これはレンズ単体で等倍までオートフォーカスで接写できるというものです。従来接写リングをつけなければ踏み込めなかった領域を、ごく普通のネーチャーフォトおやじでも撮れるよう大衆化したという点で、ものすごく革新的なレンズであるわけで、そういうレンズが出ているから、接写リングは不要ということになってしまったんですね。
  というわけで、今月から野草写真の大部分は、S1proとAF micro-Nikkor 60 mmという、これまでになく最新の(使っているものは中古ですけど、まだ新品も売っている現行機種であるという点で)機材で撮ることになります。さらにカメラバッグまで新品になったので、これはどこか旅行に行ったら、自分の荷物と認識できずに置き忘れて失くしてしまいそうです。これまでは、リングを組み合わせたりという工夫やレンズの性能の限界を超えたボケ具合とかを面白がっていた部分があるのですが、これからは設計性能の範囲内で撮るわけですから、破綻もないかわりに面白みもなくなります。
  とは言っても、これは新しいNikonの伝統と見ることも可能でしょう。昨日今日と撮ってきたものを画面でプレビューしますと、機械に撮らされているわけですから当たり前ですが、なかなかシャープなできばえです。雨上がりの日差しが透き通って見える木の葉など、これまでのレンズで(も、そしてCanonのデジカメでも)なかなかうまく描写できなかったものが、シャッター押すだけで露出もフォーカスも機械任せで、なんでこんなに自然に写っているのか?と意外なほどのできばえなのです。まるで、うまくなったのでは?と錯覚したり、プロでやっていけるのでは?と勘違いしそうで、逆にこわいですね。

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