分子を挺(せん)して以って有用の容と為す

 北川進博士の2025年ノーベル化学賞受賞に敬意を表したい。
 「良書との出会いが節目に顔を出す」という紹介に、誠実で控えめなお人柄が感じられる。京大一年生の時に手にした湯川秀樹博士の著作をきっかけに、影響を受けた老荘思想が今日の受賞を導いた…というのは、あまりにも洞察力に欠ける。
 タイトルは記事に紹介された老子の「無用之用」のもじりであるが、博士は「有用」実益を追求されて金属有機構造体に到達されたわけではなく、むしろ無用に見えるものを慈しみ、楽しんで研究を続けてこられた副産物なのではあるまいか。が、筆者の素養では、到底そのニュアンスをもじりきることあたわず。
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