ささやかな蒐集(7)

 先日落札した作品を受領した。
 鑑定書のついていない作品は、入札をご遠慮される慎重な向きもおありのようで、結果には大変満足している。
 しかしまた、作品に残されたイニシャルを手がかりに作者を推定するのは、素人にはなかなか難しく、流行りのchatGPTに頼ると、フェイクな略歴や作品など自信満々で列挙なさるため、相当注意してかからなければならないことを痛感した。
 そういう中でネットで拝見できる彫刻家名鑑やちゃんとアノテートされた彫像のサインの筆跡の画像は信頼できる手がかりになることがわかってきた。
 と一件落着したところで、「出来栄えの良い」「はつらつとした」「明るく朗らかで温容な姿が印象的」な作品が気になりだした。
 
(出品者の方の掲載画像の一部を改変)
 出品者の方のサインの読みに従うと作者不明になってしまうのであるが、いずれにしても出だしの「ホウ」の読みはまちがいないだろうということで名鑑で引いてみると、ホウガという名字の方お一人に尋ねあたった。
 ネットに公開されている作品画像は数作品あるにはあるが、決め手に欠ける。
 この方についての調査依頼に対するレファレンス事例詳細があって、出身高校の百周年を記念して《乙女の像》を寄贈されたという同窓会報も拝見できたが、掲載写真では輪郭しかわからず、作風やタッチなどは依然として判然としない。
 Google画像検索で出てきた(姶良町合併前の)加治木町広報紙をヒントに、平成8年10月号をダウンロードしてみたら、表紙に大理石彫刻像《加美》が掲載され、4ページにはご略歴もあった。
aira-digitalmuseum.jp
 作品集は、現在では日本の古本屋でも在庫がない。上京の際にぜひ国会図書館で閲覧させていただきたい。
 とは言え、オークション自体は活況を呈していて本日中に終了してしまう。ビッドを入れてもおそらく競り負けてしまうであろう。
 彫像を撮像する際にサインをきちんと記録するように心がけておけば、そのデータベースからのdeep learningで、一流の鑑定のできるAIが育つかもしれないとの着想を得た。

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