ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル(渡辺伸也訳)《ピーターの法則 創造的無能のすすめ》を読む

 amazon.co.jpで買った中古本を、ついわが身を振り返って暗澹たる気持ちになるのをこらえて、がまんして鏡を覗き込むように読む。
 階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する(ピーターの法則)。やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる(ピーターの必然)。と(旧版の)本の帯には書いてあるのだが、このピーターの法則は、熱力学の第2法則(遠い未来に宇宙が「熱力学的な死」を迎えることを論理的帰結とする)のパロディーであろうか。
 何人もこの階層社会学の法則の絶望的な帰結から免れることはできないように思われてならず、そういう無能レベルに上り詰めた凡人が天才を殺すのかもしれないのだが、望みなきにしもあらず、最後の章には「無能につけるピーターの特効薬が4種類(予防薬・痛み止め・気休め薬・処方薬)提案されている。この論理がまさに「創造的無能」の良質なサンプルとなってい(て、その分辛辣な自己言及であ)ると考えられるのだが、あまりにも洒落が効きすぎて、amazon.co.jpレビュアーコメントではこの部分に納得できないとの意見が大勢を占めているようにお見受けしてしまった。

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