いまどきの疫病退散の呪文

 西先生からメールで紹介のあった、Jonathan Corum and
Carl Zimmer: Bad News Wrapped in Protein: Inside the Coronavirus Genome, The New York Times Apr 3, 2020.を読む。
 筆者の知る限り、解読されたゲノムのアノテーションをここまで詳しく紹介した日本語記事は見たことがない。お二人のライターはbioinformaticsの専門家ではなさそうであるが、多くの研究者の助言を得て正確に書いていて、過去の著作で取り上げられたテーマもテイストのあるものばかりである。さすがNYTと、敬意を表させていただく。
 3Dモデリングされたタンパク分子をクリックすると回転を始めたりするともっと驚いたに違いないが、そうでなくてもcutting edgeな教材が自宅学習している子どもの目を輝かさせ、次のbad newsを退散させる人に育っていってくれることを冀うものなり。
 後日記>COVID-19: Genetic network analysis provides 'snapshot' of pandemic originsは、160本のSARS-CoV-2ゲノム全長配列から、その進化を明らかにした論文の紹介である。リンクをたどっていくと、分子系統ネットワーク解析ソフトウェアNetwork10と研究で用いられた配列データセットをダウンロードして自分で解析をやってみることができる(ようである)。かなり変異を繰り返して、なぜか人種ごとに違う系統を形成したように見えるが、同じ国の人と濃厚接触する機会が多かったということか、何か侵入定着に有利な変異が選択された結果なのだろうか。日本人からの分離株の配列はあまり使われていないようであって、このネットワークの中ではどのあたりになるのかが気になった。
 なお、感染格差については、soocioeconomicalな視点でも考えておかなければならない。

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