年賀状職人を越えるソーシャル定点観測データベースの提案(2)

 昨年からの続きである。
 年賀状ソフトは、おそらく日本独自の、住所録管理ソフトとハガキ表面への浄書機能、裏面のイラストや挨拶文を加工するエディタとプリントアウト機能を持つ統合ソフトである。かなり深い情報を管理できるキャパシティはあるのに、常日頃から「電話番号がわからないときに年賀状ソフトに助けられた」とか「〇〇さんのお母さんが亡くなって会社を忌引していたから年賀状ソフトにフラグを立てておこう」ということにはなってなくて、筆者の場合には秘伝のタレのような住所録ファイルを持ち越して、せいぜい年に一晩か二晩、使っているにすぎない。しかもその住所データもほどほどなので、毎年数通の配達不能ハガキが返ってくる。
 というか、筆者にとって常用のGoogle連絡先でさえ、使っているうちに自然にこなれてくる電話帳、メールアドレスのサジェスタ以上のものとして使っていない。住所を登録したり、慶弔の履歴を書き加えたりする人はいるのだろうか。
 以前からの年賀状郵便配達文化とネット通信文化ではアドレスを管理するソフトウェアが別々に作られ、使う人も別々なためか、統合して便利に使おうというということになってないようである。年賀状を交換する風習のない欧米でネット通信やソフトウェアの開発が先行したということもあるかもしれないし、そういう特殊なニーズに限定してしまうとガラパゴスソフトウェアになってしまうのかもしれない。
 しかしながら、住所データや電話番号やメールアドレスを管理するソフトやアプリはあっても、人と人との結びつきや個人史を管理して「おつきあい」を管理するデータベースがないということは、グローバルなニーズとして成り立ちそうに思われる。
 年賀状の差出人氏名住所の変遷から、いつ結婚して、配偶者は誰で、子どもがいつ産まれたか、いつ転職したり転居したか、あたりが読み取れそうであるし、書かれたコメントや喪中欠礼状からご両親の消息や、裏面の家族写真に写った子どもさんの成長の様子など解析してドラマチックに構成できるに違いない。認知機能の衰えを痛感する筆者にとっては、深層学習のアシストのあるソーシャルデータベースがあれば心強く感じるのであろうと思うのだが、当面は旧友から来た年賀状をスキャンしてEvernoteに入れて、タグに旧友の名前を打っておくということであろうか。

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