筆者にもクーベリックのマーラー《交響曲第9番》で第3の音楽体験は可能か

 今年4月に、音楽を聴く時に、鳥肌が立ったり涙を流して感動するのを、精神生理学的な手法を用いて解析した報告がScientific Reportsに掲載された。鳥肌感覚とうるうる感覚は、生理学的な手法で区別できる別の応答であると要約してよいだろうか。同論文のSupplementary informationには、その際に被験者である(入学年度からいくと40年近く)後輩の諸君が実験のために「これは感動する〜」と持ち込んだ曲リストが掲載されているのだが、感受性には個体差がかなりありそうに思われる。ちなみに筆者は(平原綾香《Jupitar》以外は)聴いたことのないものばかりなり。
 というのを思い出したのは、昨日到着した松本大輔《クラシックは死なない》を読んでいるうちに、夜中にクーベリックマーラー交響曲第9番》(1975年のライブ録音)を聴き終わった時に天界への扉が開くような神秘体験をされたということを読んだためである。クーベリックバイエルン放送響の演奏で惹き起こされるという点で再現性があり、しかも他の指揮者の演奏では起きないというのである。これは音楽の作用によって引き起こされる第3の感覚なのだろうか、それとも脳内dopamineの情動に対する作用で説明される鳥肌体験の一種なのだろうか。松本店主と筆者とで感受性は同じなのかどうか。《このNAXOSを聴け》のお勧め盤にハズレはないという点では、普遍性があるようにも考えられるが、クーベリックマーラーの9番の他の盤ではどうなのか。音楽そのものを楽しみつつ、脳の働きや情動の生理学を調べられるのだとすると、なかなか面白い。
 記憶をたどると、筆者はPink Floyd《Echoes》Kevin Bartletに感受性があるのは間違いない。

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