自分だけのための面白すぎる文献集の作り方

 これまでの趣味に興味が持てなくなったら(認知症が)あぶないなどとよく言われる。その意味で、一昨日JUNKUDOでの読みたい本を見つけられない体験にかなり衝撃を受けた。とは言っても、読みたい本がなくなったわけではない。成瀬正一博士の釣魚日記は読んでみたいと思う。国会図書館ではデジタルコンテンツ化されているが、著作権保護期間中か、確認中のため公開されていない。成瀬博士は仏文学の専門家ながら、旧一高時代の同級生に芥川龍之介菊池寛久米正雄がいて、ヘルマン・ヘッセが釣り友という、ちょっと想像を絶する方である。FACATAに掲載された写真には、室見川にハエ釣りに来て、次郎丸や田村の橋の上流、すなわちつい目と鼻の先で釣っておられたことが読み取れて、なかなか楽しい。一級の学芸員さんの「本人だけが使うごく私的な釣り暦」という評には、斬新な視点とテイストを感じるところである。
 そこで、JUNKUDOを徘徊しながら無意識に探していたのは、自分だけのための本を作るというような、メタな知的楽しみ方を実践するためのハウツー本であったのかと気づいてみると、「一冊のノートにまとめなさい」本も実は同一線上にあることが見通せる。とここまで来ると、そういう自分だけのための、どのページを開けても面白い日記と文献集を筆者はクラウドに持っていて、日々編纂作業を行っていることに気がつく。
 とは言っても、新書のコーナーに立ち寄らなかったことは後悔するべきかもしれない。

面白すぎる日記たち―逆説的日本語読本 (文春新書)

面白すぎる日記たち―逆説的日本語読本 (文春新書)

本ブログではamazon associate広告を利用しています。