手書きGIS(2) 新田 秀樹:日本の彫刻公園・彫刻庭園:創設年表とタイポロジー、宮城教育大学紀要49:137-43, 2015.

 彫刻公園76施設について作られ方を分析された論文である。
 筆者には末尾の彫刻公園のリストが大変興味深い。
 と書いていたが、これは実に浅薄な見方であったことにあとで気がついた。
 本論文では、施設類型が(A)独立型彫刻公園(庭園)から(J)植物園まで10種にカテゴライズされている。これはもちろん設置主体(の分類)とも関連する分類である。
 インターネットの検索を用いて地域の野外彫刻を探索していて感じるのは、日本での野外彫刻の展示は、さまざまな主体によって行なわれたものの総和として捉えにくいということだ。
 地域に設置した野外彫刻のマップを作成公開している地方自治体は少なくない。しかし、設置主体の異なる「管轄外」の彫刻の収載は見合わされている。縦割りの弊害ともいえるが、よそさまの設置した彫刻作品に所有権を主張するように誤解されても困ると判断するのはごく当然のことであろう。
 そこで、地域に存在する野外彫刻を網羅して紹介するには、彫刻公園内などの閉じた空間で設置主体が網羅したものをつくるか、設置自治体や企業などの壁を越えられるNPO団体などが地域内のすべてを横断的に網羅するか、ということしかなさそうである。しかし、なかなかそれらを網羅的に紹介している書籍が出版されている地域は少ない。というよりむしろ稀である。鑑賞することにおいて自由な野外彫刻なのに、網羅的な情報や鑑賞ガイドを得ることはそれほど容易でない。むしろ、インターネットのホームページなどで設置位置や画像などを公開してくださっている篤志の方の活動範囲でしか、捕捉できないと考えるべきなのであろう。
 などと考え始めるとなかなか奥が深いことがわかってきた。

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