インターフェース2015年11月号 Cプログラミング道具箱 保存版フリーソフト事典256

インターフェース誌が到着して、貪るように読む。
もともとの特集のタイトルはCプログラミング道具箱であり、特別企画のフリーソフト辞典では、256本のフリーソフトを13のカテゴリ(言語処理系、環境、デバッガ/検証ツール、エディタ、ブートローダ、OS、ネットワーク、通信アナライザ、ライブラリ/ミドルウェア、科学技術計算、ユーティリティ、データベース、ハードウェア設計)にわけて紹介している。
若い頃に読んだ《PDSの世界1989年版》の内容は、かなり忘却の彼方であるが、カテゴリは言語処理系、ユーティリティ程度でしかなかったのではなかろうか。当時フリーのOSはMINIXくらいで、カテゴリにはならなかったのだと思われる。
それで、いきおい多士済々のプログラミング言語が紹介されたウェイトが大きかったと記憶する。関数型のものが、いくつも紹介されていたと記憶するが、どうもこの四半世紀のうちにフェードアウトしてしまったものが多い印象である。これは作者の境遇の変化もあるかもしれない。
一方でハードウェアの特殊性を吸収してくれる環境を構築する必須の道具として、GCCとGLibは1987年に公開され、いまや業界標準である。この過程が、ちょうど2つの特集の間にはさまっているのである。絶滅の危機(があったかどうかは不明であるが)をフリー化して乗り越えたSmalltalk-80やMathematicaもある。自分で自分を記述できるものの方が生き残りやすいということは、移植しやすいということなのであろう。
また、マクロプロセッサの章では、m4やawkも華々しく取り上げられていたと記憶する。予約語を認識して色をつけたりプリティプリントしたりするような開発環境やテキストエディタもなく、何よりディスプレイの表示行数が乏しかった時代には、デバッグにはソースのプリティーなプリントアウトが必須であった。なお、TeXは、ユーティリティにカテゴライズされている。awkと一行野郎には、ビッグデータの操作でいまだにお世話になっているが、最大248 GBのファイルを開くことのできるような高機能なエディタがフリーソフトとして紹介されているので、これがawkWYSIWYG(あるいはGUI的)なカウンタパートになったのかもしれない。ただし、処理速度はいちいち画面の書き換えをともなわないawkの方がずいぶん速いのではないだろうかと予想する。また、emacsmuleが選外なのはやや意外に感じたが、(もちろん収載されていたのを読み飛ばしてました。すみません)Eclipseのような開発環境が標準になっているということなのであろう。
 なお、付録のDVDには紹介されたソフトウェアが全部入っているようである。四半世紀前には神保町の「ビレッジセンター」でフロッピーディスクを購入するか、インターフェース誌に広告を出していたサザンパシフィックソフトウェアから通販するしかなかったことも大きく変わったところである。
今から四半世紀後(幸運にも生存していれば筆者は82歳ということになるが)に再び「フリーソフト辞典」が編まれるとしたら、どのようなものが選ばれているのであろうか。これが筆者にとっては最も「行ってみたい時代」かもしれない。

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