22時消灯

 607号室では、6時に夕食が配膳されて、食器が片付けられると7時前からいびきが聞こえたりするのである。すなわち、《サザエさん》を観ながら寝てしまうというほどの早さなのである。とは言うものの、夕食後の体温、血圧、血糖値測定など患者さんごとの検査メニューに従って起こされたりする。消灯時に睡眠導入薬をもらっている患者さんがお隣りのベッドで、こちらのペースと異なる呼吸数でガーガー言われると気になってし、すいみんじむこきゅーしょーこーぐんなど起こされてガーが停まると、今度は呼吸停止されたのではないかと心配になり、その後急に喘ぐように呼吸が再開されるというサイクルが繰り返されるととても安眠などできるものではない。
 そこで、aquosphone 006SHにてステレオイヤホンでPaul SchwartzのAriaシリーズ、State of Graceシリーズを聴いてノイズをマスクしようと試みるのであるが、イヤホンの音質がどうしても耳に合わず、痛くてしようがなくなる。お隣りからは昨晩同様のバズーカ攻撃が着弾し始めて、やむを得ずティッシュペーパーを丸めて耳に詰めてみた。完全遮音には到らないが、丸め方詰め込み方で透過する音の周波数特性がどう変わるか検討すると、良い耳栓の作り方のヒントになるかもしれないなどと考えながら入眠することができた。
もし個室でない病室でしばらく過ごすのであれば、百均で購入できる耳栓を持っているかどうかで、眠りの質や在院日数にかなり差が出るのではあるまいか。ただし、夜中に起こされて避難しなければならない時に目が覚めないようでは困る。また、自分だけ気持ちよく休んでも、それが周辺の隣人に犠牲を強いているかもしれないという点について慎重かつ謙虚であるべきだ。挨拶がわりにお互いに耳栓をプレゼントしあうというのはどうだろうか。

本ブログではamazon associate広告を利用しています。