往年の輝きを取り戻す


 Macintosh II(68020 16MHz, 128 kB RAM, 40 MB HD)、13インチトリニトロンモニタとともに買ったApple Keyboardと角型マウスには、格別の思い入れがある。ビットマップディスプレイ上でマウスを用いてマルチウィンドウシステムを操作する最も安価なワークステーションであった。1989年1月当時の購入価格は135万円。新車を買えるお値段と揶揄する向きもあったが、比較の対象があくまでもXerox Dorado (1121 SIP)の1,300万円であった。価格比1/10のpoorman's Doradoにとびついたということだ。
 岡山市下中野519-1のお店でキャッシュでお支払いして、会社のボックスワゴンで一式を自宅まで運んでいただいた。その6年後、転職するにあたり、布団袋とこのMac II一式を第一陣として当地に送り込んだのも懐かしい記憶である。
 キーボード単体ははたしていくらであったのか。当時の領収書やカタログがEvernoteで見つからないので定かではないが、本体が90万円、CRTモニタが50万円としても、タッチのよい上等なキーボードとマウスに5万円くらいのお値段がついていた可能性がある。とは言え、25年を経てもまだ使えるという点において、それでも高くはなかったのかもしれない。
 宣材写真では純白に近く見える筺体は、実は気品あるグレーで、プラチナカラーと呼ばれていたように記憶する。とは言うものの、経年変化によるプラスチックの黄変はどうにもやるせないものである。なうなうさんのブログによるとこの変色はプラスチックの遊離ヨウ素と考えられているらしい。筺体の上と下部分で変色の具合が違ったりするのは、製造時の材料の組成が微妙に違うと考えると納得できるが、同じパーツの場所によって変色の度合いが違っていたりするのはどうしてなのか、よくわからない。1997年頃のクリスマス休暇にキーボード外殻を外してクレンザーで磨くとともに、キーを外してランドリーネットに入れて洗った記憶がある。マウス筺体も黄ばんでしまっていたが、貼っていたシールを剥がすとその下は変色がわずかであった。UVカット効果か、空気中の酸素の浸透の阻害効果か、あるいはそれらの複合なのであろう。
 ともかくこれが太陽光線のUVと酸素系漂白剤で脱色できるというのである。先週の連休に予備の中古のApple Keyboard (J)で試験的にやってみたら、「使用者の印象であり、商品の効能を保証するものではありません」以上の効能が認められ、使用後の漂白液はまだそれなりに有機物に反応して発泡していたことから、過酸化物の溶液中での安定性は3日間と言わずもちそうであることがわかった。漂白の具合はUVを照射する時間(あるいは界面の温度)に比例すると考えられるから、プラチナカラーを取り戻すまで、日光に当て続けることを考えた。秘蔵品であるから、当分使えなくてもまったく困らない。
 前回3日間はトレー状のダンボール箱にビニール袋を敷き詰めて漂白液を入れたが、野ざらし期間を延長するには液の蒸発を防止しなければならない。ということではたと気がついたのが、ウエスタンをやる時に高価なモノクロを節約するためのプラスチックバッグである。筺体を入れたポリ袋の気泡をうまい具合に抜いて、あまりタイトにしすぎて破裂でもしたら大変であるから、若干の遊びを残して密封。とは言え、今週は颱風27号の接近が予想されあまり天気はよくなさそうである。つくづくあの猛暑続きの17日間にやっておけばよかったと思う。

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