鈴木 喜代春 (著)、阿部誠一(挿画):二人の「見つめる女の子」、岩崎書店、2003年

 阿部誠一先生は、今から40年も前、筆者の中学時代の美術の先生であった。Googleでもなかなかまとまった情報に接することはできないが、今治美術界の長老としてお元気で活躍中のようにお見受けする。佐藤忠良氏に師事されたと、今頃知った。日本のあちこちで佐藤作品を拝見した時に何か感じるところがあったのは、こういうつながりであったのか、と考えたりした。とは言うものの、筆者は美術について特別に才能があったわけでもなく、放課後までかかって絵皿を製作するようなことになった時に、なぜか彫塑製作などについて熱く語ってくださったことを思い出すのである。
 実家から遠くない幹線道路の路傍で「見つめる女の子」に「発見され」たのはもう12年も前のことであった。先日市内中心部で発見した「見つめる女の子」は、それが移設されたものなのであろうか。
 阿部先生が挿絵を担当された二人の「見つめる女の子」の表紙には、その懐かしいデッサンが描かれている。タイトルの《二人の》が意味するところに、ひょっとすると謎を解く鍵があるのかもしれない。[本]

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