帰途

 ハロウィンに浮かれた人がブラウン運動している通りを引き返すのは骨が折れる。そこで海岸を歩いて戻ろうと心を決める。
 海岸沿いには大体は海に向かって開けたレストランが営業中なので、海岸はかなり明るく照明されているのであるが、沖のちょうどサンゴ礁に白波が立っている先の水平線上に南十字星らしき星の並びが見えるような気がするのである。半信半疑ながら、ついに陸軍施設付近の砂浜に降りてみる。街路灯の光が距離の自乗に反比例して弱くなり、かなり高い仰角で南中しているいて座がよく見える。その下に十字の上3つの星が見えるように思われるのであるが…砂浜にバスタオルを広げて目を慣らし、カメラに三脚をセットして撮影してみる。結論からいうと、これはみなみのかんむり座であって、サザンクロスは春の星座−かに座とほぼ同経度−なのである。以前南半球のブリスベーンでは夏でも見えたが、ハワイは北半球なので見える季節・時刻帯は限られるようである。
 カブリでなかなかうまく撮影することはできないけれど、いて座付近の濃密な銀河を堪能。10年前に見落としていたハワイの魅力を発見したという喜びあり。さらに東進して、ヒルトンラグーンを回りこんでアラワイヨットハーバー脇の道をたどって宿舎に帰着。
 帰ってきてベッドに横になったすきに爆睡してしまったところを見ると、かなり歩き疲れたのであろう。SPF85のクリームで保護した皮膚も、夕日の光に2時間も曝されていないはずなのに、なんとなく火照る感じが残る。例によって洗濯しながらシャワーを浴びて、洗濯物を干して寝る。本日もクーラーはかけずに、準熱帯夜の風を部屋に入れる。アラモアナボリヴァーを通りかかる珍走車のノイズが気に障るが、それほど連続的ではない。

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