フランス音楽のエスプリ

 明日何かでかいステージを控えたCEOが、夜半前になんだかいやいやドビュッシー《子どもの領分》第1曲目のおさらいを始める。素人の筆者が聞いても、つまらない。もうちょっと弾き方があるのではないか、以前誰の演奏を聴いたか忘れてしまったけれど、そんなにつまらない曲には思えなかった由を述べる。CEOもどうも壁にぶつかっていたらしく、Classical archivesで、諸先輩方の演奏スタイルを参考にしたいという。
 演奏スタイルに注目して聴き比べしてみると、いわゆる「解釈」の違いが浮き彫りになって興味深い。CEOが言うには、日本では、ペダルを踏むことなくテンポを揺らさず速球勝負というスタイルらしいのである。これを楽譜の監修者の旧い解釈と言うべきかどうかは難しいところであるが、現代フランスのピアニストが(15年前の録音ではあるけれど)、緩急の変化をつけて精妙なるコントロールで響きを重ねて、今までわからなかった構造が一瞬見えるようなところがあって、哲学的な深みが感じられるのである。まあそれをエスプリなどと称しているようでは、かの国の文化人に笑われるだけであろうが…。[音楽]

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