筆者が高校生から大学に上がった1970年代後半は、そろそろ日本全国で稼動していた鉱山が採算の問題で廃山になったりしていた頃であるが、築地書館の「鉱物採集の旅四国・瀬戸内編」はバイブルなのであった。もちろんほかの地方についてもシリーズが出ていたのであるが、気がついた頃には絶版入手不可能になってしまって全巻揃えることはできなかった。1980年代に入ると、草下英明:鉱物採集フィールド・ガイドが出て、これが日本全国すみずみまで産地を訪れて叩きまくる著者の石好きの熱をそのまま伝道するような素晴らしい本であった。これらの素晴らしい本を書棚に並べ、いずれそれらの産地を訪れてリュックをいっぱいにして帰ってくることを夢見て四半世紀を経過してみると、憧れの聖地はマナーの悪い鉱物マニアのために立ち入り禁止になってしまったり、水没したり埋もれてしまったりとすっかり幻になってしまったところも多いようなのである。
本日の朝日新聞第1面下の本の広告に、鉱物コレクション入門を発見。これは築地書館が放った21世紀のバイブルではないかと思われるのである。そのうち買わねばなるまい。[地学]