笠松山山火事

 郷里に山火事ありとのニュースあり。二日目の今日になっても鎮火せず、どうも全焼するまで鎮まりそうにないような口ぶりである。というのでさてどこの山かと確認してみるに、笠松山であった。その名の通り、花崗岩が風化した赤茶けた山肌に松の生い茂ったツインピークの山である。
 そのふもとで過ごした幼少のみぎり、頂上まで登って「なんだ山の向こう側もこっち側と同じじゃん!?」といって引き返してくるカエルの寓話は、筆者の脳内イメージではカエルは笠松山に登り、ファーストピークの展望台から朝倉村の美しい田園風景を眺望ののち、瀬田山方面には縦走せずに帰ってきたことになっているのであった。山の向こうの地に憧れをもっていた点では筆者もカエルと同じなのであるが、山道には熊や狼やムカデがうようよしていて、山中には異星人の基地まであるかもしれず、とても越えられそうにないなと子ども心に思っていた。これは主に《シートン動物記》と父親から吹き込まれた垂直離陸するUFO目撃譚の影響に違いない。今では帰省の際の墓参でその山腹の峠道を数分で駆け抜けて桜井に出てしまうのであるが、もちろんそのような生命の危険に遭遇したことはない。[懐かしの]

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