Digital GEMてくのろじー

 筆者のようにとにかく1カットでも多く撮りたいがために、量販店の安売りフィルムを大量に消費して、現像液の温度を少し高めに設定して現像の上がりを他店よりも早くする競争をしているようなお店に持ち込んでいたフィルムのあがりは、粒状性が荒れている。フィルムスキャナーを使うと、読み取った画像でフィルムの銀塩粒子が解像して天然色点描の荒れた画質になる。
 これまで筆者はそこをPhotoShopGIMPでガウシアンブラーをかけた後画像サイズを1/半径2に縮小してしのいでいた。
 ところが、いまどきのスキャニングソフトには、このあたりをクレバーにやってのけるdigital GEMテクノロジーが搭載されているというのである。GEMの効かせ方のパラメータを0〜4までかえてスキャンした結果を見比べると、たしかに粒状性の荒れが軽減する。とはいえ、安物高感度フィルムの高め液温現像であると、GEMを最強にしても、まだ荒れが残る。ブラーのかけ方はガウシアンではなく、むしろ所によって方向の変わるモーションブラーに近い印象である。基本的にはブラーをかける(周辺のピクセルの色を混ぜ合わせる)操作なので、強力に効かせようとすればするほどエッジのぼけた画像になるのは当然であるし、それをもう一度アンシャープマスクなどでエッジを出そうとするとだんだん明治時代の着色写真のようになっていくのも考えものである。いちいちレタッチする手間を考えれば、お手軽でたいへんよろしいのではあるが、最適の条件を見つけるのはなかなか大変である。
 同じ光学系を使っても、CMOSセンサなら基本的にレタッチなど必要ないというのに、焦点面にあるのが銀塩フィルムというだけでどうしてこんなに違ってしまうのであろうか。[ハードウェア]

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