月蝕なれど天候不良

 正午前より時に暗くなり雷鳴を聞く。昼すぎてもほぼ快曇である。
 本日の月蝕は、ほとんど皆既蝕の状態で月の出となり、部分蝕も21時23分には終わってしまうという。早良月蝕観測チームとしては室見川西岸に遠征観測隊を派遣して、一コマでよいから部分蝕のカットがほしい。
 皆既の間の赤銅色に染まった月面も撮りたいのであるが、これは地球大気で散乱された赤色光がほんのり月面を照らすことで生じるものである。高校の頃、赤道儀で追尾してやっと写せたような記憶がある。しかし、どういうレンズで撮影したかは詳らかならず。135 mm F3.5であっただろうか。500 mm F4という撮像系で、月が静止して写る限界の積分時間で十分なコントラストが得られるくらいの明るさかどうかということにかかっている。地球照の場合には、月が細いほど地球の昼の部分からの照り返しの光量が多いのであるが、ISO 100で1秒程度で写っていたと思う。現在の撮像系ではISO 1600で1秒程度の積分時間が限界である。この観測によって、地球照の明るさとの比が計測可能になるはずである。月がのぞいてくれなければ話にならないが。
 そういえば昨晩撮像試験待機中に、成層圏をとぶジェット機が月面の上をかすめて、ちょうどそこに見事なシルエットになったのに感激したのであった。小学生の頃、巨大な黒点のある太陽面上を機影が「日面通過」しているのが、天文ガイドに掲載されていたのを思い出してしまった。こういう写真は狙って撮れるものでもないのだが、ふと部分食で日没を迎える地域では、夕陽の最後の光の中で手を振っているとその自分の影が一瞬月面に投影されるかも、と思いついた。本影と半影ができるくらいであるから、地球の精細な輪郭が投影されるわけではないのであろうが、そういうことを考えながら本影の輪郭を追っていくのも別の意味で興味深い。[天文]

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