夢殿本尊秋季特別開扉で30年ぶりに秘仏救世観音を拝観

 1200年の歴史のなかの30年など取るに足らないものであるけれど、その30年で大学2年だった若造は確実に中年をやぢになってしまう。人の一生など短いものである。今回のチャンスを逃すと、二度と拝観することなく冥土に入ってしまうのではないかと、悲壮な決意で参拝の予定を組んだのであるけれど、実は法隆寺はとても近かった。
 宿舎からJR天王寺駅まで徒歩5分、トーキョーで使っているSuicaで改札を入って、関西本線快速に乗ると、たった26分で法隆寺駅に到着してしまう。30年前に来た時の駅周辺の印象はまったく欠落しているのであるが、案内標識の通りに道を進んで前方の家並みの間に五重塔の尖端が見え隠れしながら大きくなってくると、懐かしい思いがこみ上げてくる。
 ともあれ、本日から特別開扉の東院に向かう。夢殿の救世観音像の前にはおよそ2間の両開き扉が開かれており、金網に顔をこすり付けるようにしてほの暗い堂内の、さらに厨子の中の救世観音像に眼を凝らす。
 周りの方の会話を聞いてみるに、開扉を狙ってきたのは筆者くらいのようだった。というので、行列ができて待ち時間があったり、一人あたりの拝観時間が制限されたりというような心配は杞憂に終わったのであるが、こんな快晴の行楽日和にも関わらず境内を歩いているのは修学旅行の高校生と韓国や中国のツーリストばかりというのはさびしい気がする。まあ、その分ゆっくりとお参りできてよかったのであるが。

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