蒸発したリカバリーディスク



  昨日会った知人の勤務する,ある私立ライフサイエンス系研究機関でのお話。
 数年前に,ネットワークにつないで基幹業務に用いるWindows 95マシン(当然新品)がどどっと導入され,問題なく稼動していた昨年の初夏に,中古の同型機を個人的に購入した御仁がいた。もともとLinuxをインストールするために買った格安のリースバック機であるから,リカバリーディスクはついてなかったそうだ。このことに触発されて,サブのネットワーク管理者という職権を乱用し,「基幹業務用マシンのリカバリーディスクはどこですか?」と施設内を訪ね歩いたという。Linux入れるのだから,本来は必要ないはずだが,インストールに失敗した時の保険にするスケベ心があったと見て間違いないだろう。
 ところが,ネットワーク管理者は,施設管理部門の物品管理者が持っているはずといい,物品管理者は納入業者が持っているはずといい,納入業者は設置場所に置いてきたので個々の機械の管理者がもっているはずといい,個々の機械の管理者はわからないという。半日にわたる綿密な聞き取り調査から得られた結論は,数十台分のマニュアル,リカバリーディスクの類いは「蒸発したみたぁ〜い」という情けないものであったらしい。
 この時点で,スキャンディスクなどのメインテナンスソフトを定期的に走らせる体制もなく,いかにWin95が堅牢であったとしても,いずれは再インストールが必要になることを予測し,機器管理,いや危機管理意識を持って行動していた部署はなかった,と当の御仁は回想する。
 これをお読みの方にとっては当然の結末であろうが,昨年末基幹業務機の一台に降って沸いたように起こったOSのブートエラー。リカバリーCDが見つからないことから機関の管理者サイドでは手の打ちようもなく,約3ヶ月近く起動できないまま店晒し。予算ひっ迫のためとはいえ,こんな悠長な対応で支障が出ないのは,基幹に値する業務のオンライン化が中途半端だからこそ「助かった」ためだという。そうこうするうち,とうとう代替のCompaqのミニデスクトップ機(当然新品)にすげ替えられてしまったそうな。
 これを納入業者の「腕の冴え」と見るかどうかはともかく,今やPC使い捨ての時代とはいえ,OSがとんだ程度で機械の初物買いをしているようでは,予算などいくらあっても足りるはずがない…と延々グチを聞かされました。
 

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  Rosie兄 [ そういえば某所では個人の持ち出しでタダでインストールさせられておかしくなったら「ちょっとみてくれたまい」というなん..]
 
  やぢを [>一世代前のマウスを注文するはめに…。  もともと世の中にはこういう一生モノの耐久消費財としてハードウェアを購入する..]
 

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