惑星ソラリス



  最近,eBayでロシアカメラにはまり,ロシアンウォッチを購入するなど,赤色めいたものに心ひかれています。思いあまって,私の持っている唯一の旧ソ連映画アンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」(1972年)を見直しました。10年近く前に深夜TVでかかったのを録画したテープです。目当てのロシアカメラはまったく出てきませんでしたが,このフィルムはきっとロシアムービーカメラで撮られたものに間違いないでしょう。
 インターネットでタルコフスキーのページをサーチしてみて,この映画がカンヌで賞をとったこと,そしてこれが「2001年宇宙の旅」の『東側からの解答』と当時うけとめられていたことを知りました(もちろん,西側のは「2010年」です)。ほんとのところは,「そう思って見ることも可能」だっただけかもしれませんが,ロシア人はライカのコピーカメラのように見えて,実はライカを越えたカメラを作ることなどお手のものですからね!なるほど,そう見れば,IBMHAL9000)に対抗したSun MicrosystemsのOSの名前はSolarisでなければならなかったことも妙に納得できます。
 言うまでもなく「2010年」の舞台設定は,旧ソ連が崩壊したために,地球上で西と東にわかれている人類が,宇宙人どうしのように同じ宇宙船に乗り合わせる滑稽さなどは遠い昔のフィクションになってしまいました(今は国際宇宙ステーションの時代ですからね)。
  月で見つかったモノリスの秘密をとうとう教えてもらえなかった東側の解答は,惑星ソラリス近傍の宇宙空間でさえ内省に向かい,人間の良心の苦悩と葛藤を描いて,時代を越えた重厚な普遍性をもったもので,今見てもまったく古くないですね。エンディングまでいくと,木星が(常温)核融合を開始して冷戦が終結するか,惑星ソラリスを覆う知性を持った広大な海に主人公クリスの苦悩が移植されるかというほどの違いがあるわけですね。
  さて,タルコフスキーホームページ表紙の,両手を頬にあててうつむいている,「苦悩するタルコフスキー」の姿にはなぜか心の琴線に触れるものがあり,思わずデスクトップ背景に貼ってしまい,さらにホームページのBGMにJ. S. BachのコーラルプレリュードBWV639を鳴らすとこまではまってしまいました。そのうちピアニカで練習を始めるかもしれません。
  しかし,実際のところ,この映画はノーカットでは3時間近い大作だというのに,私の持っているテープでは2時間を切っています。ノーカット版で見たい!さらにタルコフスキーさんの他の作品も全部見てみたいという欲望が宇宙規模で爆発しそうです。
  この一週間は,ソラリス宇宙ステーションの面々のように混乱し,不眠症になっていました。あちこちで愚痴らせていただいてだいぶ楽になったです。ご迷惑かけた方には申し訳なく思っております。

  さて,おknee様のご昇任,大変おめでとうございます。

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