休日出勤のち河太郎

 ここ数日、通りかかりに護岸工事の終わった川のならされた砂地に陶片が見えているのに気がついていた。
 大水が出たら何方へともなく流れてしまうのであろうと、休日開催でホスト席に詰めてのオンライン会議中も気になっていた。
 一度帰宅して裃を脱いで、ポケットにビニール袋を忍ばせて、MontBellのキャップとEagle EyesのサングラスとSDGsピンバッジのついたベスト(とマスク)で変装して出かける。道から陶片のありかを確認しておいて、フェンスを乗り越えてはしごを降り、河川に埋没したる廃品を収集する。
 上流に窯元があったような言い伝えもなく、百年前には見渡す限り田んぼであったような場所である。その用水路に歴史的な逸物などが転がっている心配はまずないと思われる。生活に使われていたものが大水に流されたり、割れて廃棄されたものが漂泊の末にたどりついたものなのであろう。
 とは言うものの、上から見ていて気がつかなかった小さな欠片に細筆で唐草模様の書き込まれたものなどあり、夢中で収集する。
 そういえば、この間の水曜日に外回りした時に古地名もゆかしき西皿山で更地になった地面に陶片を見つけて、どうしても看過できず収集してしまったのだった。
 

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