情報処理の夢を30年後に評定せよと言われても…

 来月締切の原稿をノリで引き受けてしまったのに、全く筆が進まず、ここのところ数日はまん中の子のつくる粕酒をあおってふて寝している。
 こういう時に何かにすがるように萩谷昌巳氏の著作を読んだりすると元気が出ることや、そう言えば「情報処理の30年後の夢を書けと言われても」というタイトルの投稿記事があったことを思い出して、Evernoteで探し出す。情報処理学会の1991年1月号、すなわちちょうど30年前に「30年後の情報処理」を占った特集号の一記事である。
ipsj.ixsq.nii.ac.jp
 萩谷氏の他にも、竹内郁雄氏、木村泉氏などの含蓄に富んだ原稿を読み進むうちに、「松下温:2020年の初夏のある日」に驚愕した。
 コロナ禍が予測できたはずはないのだが、そこに書かれているのは、筆者にとって現実の「昨年の5月の非常事態宣言の出ていた頃(2020年の初夏)のある日」そのものである。オンライン会議、Evernoteのようなパーソナルデータベースでの引用文献の検索とか家庭の大型テレビでケーブルテレビを観ている状況、奥様がオンラインショッピングを楽しんでいる様子、郵便の電子化や買い物の非接触決済など…
 松下氏は当時52才の慶応理工学部の教授であった。出版された1991年1月15日は、world wide webのhttpプロトコールの実装によってNeXTコンピュータをサーバーとして人類史上初のwebページが公開された日(1990年12月20日)から1か月もたっていない時期である。また、第5世代コンピューターのICOT終結が1年延長された年である。
 ホームページやSNS、pad系端末が登場しないのは当たり前であるとしても、今の私たちの生活は30年前には情報処理の天才が予測する「夢」であったという事実。これにはまいってしまった。こういう記事を筆者も寄稿したい。

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