amazon.co.jpには破格の安値で売られる古書があるが、価格は常に変動する。1円や2円で叩き売られていたのを買ったら、売れるとわかった途端価格が1万倍くらいにはねあがったこともある。と言っても、筆者は古書を投機の対象としてではなく、自炊のための「被写体」として捉えているのであるが、1980年代前半以前の本はもともと高値の花であったり、出回る部数が少なくてなかなか入手できない場合も多い。こういう「文化財」を、一個人の私利私欲で裁断してしまっては後世のために申し訳ないという文化的矜持も必要である。
カピッツァ博士の本もそうであったが、もう一冊、われらがイラストレーター真鍋博氏の《オフィス・書斎の演出法 ミー空間を作ろう》もそうであった。
本書の発行された1983年というのは、筆者が大学を卒業した年である。最先端のハードウェアが光磁気ディスクの書類ファイリングシステムやワープロという時代であった。そろそろ40年が経過し、モバイルコンピューティングの進展で、《デジタル書斎活用術》や《インターネット活用術》の内容はすでに陳腐化していると言って間違いあるまいが、本書ではキーボードを置くオフィスの机面と椅子の座面の高さのバランスとか、オフィスの静音環境など、今に通用する記述が見られ、借り出した甲斐があったというべきである。
リスニングルームの音響設計とMike Oldfield Boxedのイギリスの田舎のスタジオの環境の写真が掲載されているブックレットとシュレーダーハウス本をまとめて、セカンドライフに向けた住環境シフトに関する参考文献集とするが、前世紀半ばのものばかりである。
- アーティスト:Mike Oldfield
- 出版社/メーカー: Virgin Records Us
- 発売日: 2002/12/10
- メディア: CD
リートフェルト シュレーダー・ハウス−1923 オランダ (World Architecture)
- 作者:栗田 仁
- 出版社/メーカー: バナナブックス
- 発売日: 2005/01/21
- メディア: 単行本