《南方録》を精読しなければならないところであるが

 来年初夏の点茶の席にと、お盆前にヤフオク抹茶茶碗を4客、文琳茶入を1客買い整えた。そこで席にカラスノエンドウを飾ってはどうかと思うようになった。
 本当は《南方録》を精読して、主人の心得を学ばねばなるまいが、筆者が若い頃お遣いに行った後楽窯の銘品「火もらい」の中に小さな剣山を入れて活けておられたのを思い出して、花瓶花瓶していない花入れを求めて、壺屋焼の水筒式酒入と真っ赤な林檎型の一輪挿しと火もらいと扁平な花入れと虫明焼の茶碗を適価で、終了間際のコンペティションもなく落札したのだった。これで、主人としては野の花を飾って、客を迎える準備ができたということである。
 ところが、ヤフオクのサジェストする銘品を見ているうちに、もし一期一会ということであるなら、いま糸目をつけずにビッドを入れたらなんとかなるのではないかという二品を発見。
 まさかこういう骨董買いの心理に衝き動かされるようになろうとは、考えもしなかったのであるが、そのうちの一つは、曜変天目茶碗で、終了10分前には3万円未満であったのが、筆者など一瞬たりも最高額入札者になれないまま、101,000円まで行ってしまった。もう一つは河井寛次郎さんの作品であるから、これまた軒並み十万円まで上がって、なんとかなりそうにもなかったのだった。
 

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