103aによる散光星雲

 今から40数年前の高校生の頃まで、散光星雲を写そうと思えば、まず空の暗いところに観測ドームのある家を建てて、しっかりした赤道儀を据えて写真儀を載せ、赤色フィルターで水素分子の出すHα線を透過させてKodak社の特殊な感材を塗った乾板で撮影しなければならなかった。あまり感度が高くないので、長時間望遠鏡で天体の動きを追尾して光を集めることが必要で、パロマー天文台で撮影された星雲の写真は垂涎の的であった。
 大学生になる頃には、ポータブル赤道儀にのせた35 mmカメラで使えるKodakの103aという分光用感光剤フィルムを用いた撮影が行われるようになり、本書もそうした撮像のパイオニアの手による写真集として出版されたものであった。
 幸いオサカ駅前第3ビルのカメラ店の冷蔵庫にはフィルムの在庫があったが、あまりに空が明るくて筆者にはとても写せるとは思えなかった。今はHα線透過するフィルターとデジタル一眼の組み合わせでもっと簡単に撮影できるのだろうか。

103aによる散光星雲 (1977年)

103aによる散光星雲 (1977年)

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