三江線廃線

 島星山から下りてきて、江の川河口付近の堤防の上に寝転がって、潮風に吹かれながら鉄橋を渡る列車を眺めていたのは、もう<2年半も前のことである。
 鉄橋を渡る手前から江の川西岸を遡行するのが三江線で、筆者はついにその運行を目撃することはなかったのではないだろうか。その線路の先には粕淵、浜原、湯抱温泉などの斎藤茂吉が人麿の終の棲家を探し求めた山峡の地がある。
 今ではあまり取り上げられることはないが、《水底の歌》で読んで以来、三江線で訪ねるのもかなわぬ夢となったのだった。
 交通インフラの廃止は山陰の中山間地の集落消滅に向かう一つのきっかけになるのだろうか。

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