水星派の響き

 昨晩《春の祭典》を、アンタル・ドラティミネアポリス盤、ドラティデトロイト盤、シャルル・デュトワモントリオール盤で聴き比べしてみると、バスドラムの風圧や音場の広がりに関してはドラティデトロイト盤が一番であった。
 LPレコードとしては金田先生のお気にのミネアポリス盤は、筆者のラズパイ・マルチアンプシステム(総額17,000円)でALACファイルをかけた限りでは低域が1オクターブカットされたような、こもった感じの音に聴こえる。アンプシステムの音楽再現能力の限界かと落ち込みつつ、昨晩買ったヤーノシュ・シュタルケルドラティ/ロンドン響のドボルザークシューマン チェロ協奏曲集を聴いて驚いた。筆者には、演奏者の人間性とかを評論できるような素養などないが、チェロのしっとりとした演奏に聞き惚れてしまった。収録されている3曲は、Mercury Living Presence edition 1の復刻CDでは、別々のお皿(CD 33と34)に分かれて収録されている。同じ録音なのかどうかまでは不明であるが、水星並みのLiving Presenceを感じる音質ではある。間のブルッフ《コル・ニドライ》がまたよい。大人買いしたドラティのCDが、はからずも名チェリストシュタルケル氏との出会いになった。
 そうなると、他の株式会社ブィ・ディ・ランドのレパートリーも宝の山なのではないかと、興味がもりもり湧いてくる。カラヤンベルリン・フィルのものもいくつかあったことは間違いないので、水星レーベルからだけの復刻ではなさそうであるが、Living Presence edition 1から3の曲目リストをよーく眺めておいて、ピンときたのを買ってみてのはどうかと考えている。

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